【2025年版】インボイス登録事業者必見!確定申告の変更点と節税対策を税理士が徹底解説

2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)。免税事業者からインボイス登録事業者(適格請求書発行事業者)になった個人事業主・フリーランスの方にとって、2025年に行う確定申告(令和6年分)は、制度開始後2回目となりますが、特に「消費税の申告」について、まだ不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

インボイス制度の導入により、確定申告、特に消費税の計算や納税方法に大きな変更点がありました。知らずに進めてしまうと、本来より多くの税金を納めてしまったり、逆に申告漏れが発生してしまったりする可能性もあります。

この記事では、インボイス登録事業者となった個人事業主・フリーランスの方が、2025年の確定申告(令和6年分)で損をしないために知っておくべき「変更点」「消費税の計算方法」「注意点」「節税対策」について、分かりやすく解説します。

インボイス制度開始で確定申告はどう変わった?

最大の変更点は、これまで消費税の納税が免除されていた事業者(基準期間の課税売上高1,000万円以下)であっても、インボイス登録事業者になった場合は、原則として消費税の申告・納税が必要になったことです。

令和6年(2024年)分の売上や経費について、2025年初旬に行う確定申告では、所得税だけでなく消費税の計算・申告も忘れずに行う必要があります。

また、経費の仕入税額控除(支払った消費税分を差し引くこと)を受けるためには、原則として「適格請求書(インボイス)」の保存が必要になります。受け取った請求書や領収書がインボイスの要件を満たしているか、日頃から確認する習慣が重要です。

消費税の計算方法:どの方法を選ぶべき?

インボイス登録事業者の消費税計算方法は、主に以下の3つがあります。

  1. 原則課税(一般課税):
    • 売上にかかる消費税額から、仕入れや経費にかかった消費税額(仕入税額控除)を差し引いて納付税額を計算する方法です。
    • 正確な計算のためには、売上・経費ともにインボイスに基づいた詳細な記録と管理が必要です。
    • 設備投資などで大きな支出があった場合、支払った消費税が売上にかかる消費税を上回り、還付を受けられる可能性があります。
  2. 簡易課税制度:
    • 基準期間(前々年)の課税売上高が5,000万円以下の場合に選択できる計算方法です。
    • 売上にかかる消費税額に、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を掛けて仕入税額控除額を計算します。実際の経費にかかった消費税額を計算する必要がないため、事務負担が軽減されます。
    • 簡易課税を選択するには、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。
    • 実際の経費率がみなし仕入率より低い場合に有利になる可能性があります。
  3. 2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置):
    • インボイス制度を機に免税事業者からインボイス登録事業者になった方が対象となる、期間限定の特例措置です。(令和5年10月1日~令和8年9月30日の属する各課税期間が対象)
    • 売上にかかる消費税額の2割を納付税額とする計算方法です。つまり、売上税額の8割を控除できます。
    • 事前の届出は不要で、確定申告書に2割特例を適用する旨を付記することで選択できます。
    • 多くの場合、原則課税や簡易課税よりも納税額が少なくなり、計算も非常にシンプルになるため、対象となる事業者にとっては非常に有利な制度です。
    • 令和6年分の確定申告(2025年実施)では、この2割特例を適用可能です。

どの計算方法を選ぶべきか?

  • 2割特例の対象者(インボイスを機に課税事業者になった方): ほとんどの場合、2割特例が最も有利になります。まずは2割特例を適用した場合の税額を計算してみましょう。
  • 上記以外の方(元々課税事業者だった方、2割特例対象期間外など): 原則課税と簡易課税(選択可能な場合)の納税額をシミュレーションし、有利な方を選択します。簡易課税を選択する場合は事前の届出が必要です。

確定申告における経費計上の注意点

消費税の申告において、仕入税額控除は納税額を左右する重要なポイントです。

  • 適格請求書(インボイス)の保存: 原則として、仕入税額控除を受けるためには、インボイスの要件を満たした請求書や領収書の保存が必要です。
  • 経過措置の確認: インボイス制度開始から一定期間は、免税事業者等からの仕入れについても一定割合の仕入税額控除が認められる経過措置があります。ただし、適用期間や控除割合は段階的に縮小されるため注意が必要です。(令和8年9月30日までは80%控除可能)
  • 帳簿への記載: インボイスの保存だけでなく、帳簿にも取引年月日、取引内容、取引金額、相手方の氏名または名称などを正確に記載する必要があります。

インボイス登録事業者向けの節税対策

消費税の申告においては、前述の「2割特例」や「簡易課税制度」を適切に選択することが最大の節税策となります。

所得税に関する節税策としては、従来通り以下の方法が有効です。

  • 青色申告特別控除(最大65万円)の活用: e-Taxでの申告または電子帳簿保存を行うことで適用可能です。
  • 経費の適切な計上: 事業に関連する支出は漏れなく経費計上しましょう。家事按分できるものも忘れずに。
  • 小規模企業共済: 掛金が全額所得控除の対象となります。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金): 掛金が全額所得控除の対象となります。
  • ふるさと納税: 実質2,000円の負担で返礼品を受け取れ、寄付額に応じて所得税・住民税が控除されます。

これらの制度をうまく活用することで、所得税の負担を軽減できます。

まとめ:複雑なインボイス関連の確定申告は専門家への相談も検討を

インボイス制度導入後の確定申告、特に消費税の申告は、これまでの確定申告に比べて複雑さが増しています。どの計算方法(原則課税、簡易課税、2割特例)を選択するのが有利なのか、仕入税額控除の要件を満たしているかなど、判断に迷う場面も多いでしょう。

特に2割特例は非常に有利な制度ですが、適用期間が限定されている点にも注意が必要です。

ご自身での申告に不安がある場合や、計算方法の有利選択、より効果的な節税対策についてアドバイスを受けたい場合は、税務の専門家である税理士に相談することを検討しましょう。専門家は、個々の状況に合わせた最適な申告方法を提案し、複雑な手続きを代行することで、あなたの時間と労力を節約し、納税額の最適化をサポートします。

確定申告に関するご相談は、https://kitamura-tax.com/ までお気軽にお問い合わせください。


【免責事項】 この記事は、2025年4月26日時点の情報に基づき作成されています。税法や制度は改正される可能性があるため、実際の申告にあたっては、必ず最新の情報をご確認いただくか、税理士にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました